1月と2月の本 往復5時間の痛勤時間は長いけれど2018年02月22日 21:50

・スープ屋しずくの謎解き朝ごはん 想いを伝えるシチュー  友井羊 「このミス大賞」シリーズ  宝島文庫  20171121  650円  
 麻野と理恵の仲もちょっと気になりつつ、娘の露 おいしいすうぷと薀蓄と。

・神様の棲む診療所 2 竹村優希  双葉文庫 20171217  574円
 猫のマヤと 神様のマヤー  永く生きた猫で優しい神様、ニライカナイの主 一番偉い神東方大王 あがりかたうふぬし 偉いのだかどうだか きれいでふしぎ

・ムーン・リバー  栗本薫 角川文庫 20171225 920円 元2009年刊行
 真夜中の天使、朝日の当たる家、嘘は罪などの『東京サーが』の最後、亡くなる前まで書いていた物語。天皇といわれるプロデューサー島津正彦と今西良を待つ透との愛。愛が深くなるとはこういうことなのかしらと、濃い表現にうなります。

・ハケンアニメ! 辻村深月  マガジンハウス文庫 20170906 880円
 天才 王子千春(いいところの僕)お母さんの明子さん プロデューサーの背高い有科香屋子の苦労 TVアニメの厳しい現実と忍耐強い業界人 行城の有能さしたたかさが立派で印象的。

・フクシノヒト こちら福祉課保護係  先崎綜一著 役所てつや編集 文芸社文庫NEO  20170315 605円
 17年前に書かれた内容、今回文庫で再読。現場の感じが出ていて、日ごろ付き合っていた福祉課保護課のワーカーさんの姿が、垣間見れる。いまや、泣く子も黙る憧れの公務員さま。大学卒業後、めでたく市役所勤務となって、配属される福祉課、その中でも生活保護のワーカーさんには、現場では歯がゆく感じる人が多かったのですが、、、
想像はつきますよね。今までの人生で見たことも聞いたこともない人に会って話すのです。大変なことですね。実際は、現場の地域包括支援センターのスタッフ、病院のMSW、などに丸投げの方が多いですが。その理由もわかります。いろいろな場所で最善を尽くし人がいてこそ福祉は達成されますね。

・キャロリング  有川浩  幻冬舎文庫 20171210  690円
 クリスマス倒産、離婚問題、誘拐、それぞれの生い立ち、主人公の大和俊介がなかなかりりしいが、キーパーソンの田所航平君が6年生なのに一番しっかりしているように見えます。心の問題を取り扱うとき、10代も20代もない、ということでしょう。親世代のちょっと情けないところが対象的です。未来は捨てたものではないということでしょうね。

・優しい密室  栗本薫  講談社文庫 20171013  690円  1981年作品の新装版
 伊集院大介24歳、女子高校の教生、森カオルとの出会い、シリーズ初期。糸の聖域で有名になった大介、警察にはいくらか、頼られている。女子高生のナマのおしゃべりの言文一致の今風というか、40年以上前の今風?が、今やちょっと古風な話し方に見えるのがおかしい。

・創作の極意と掟  筒井康隆 講談社文庫 20170714 670円 
  2014年作の文庫化
茂木健一郎が解説で豊穣の中でプロ小説家が成り立っていると書いていますが、筒井大先生はその時代の大家です。見習えといってもユニークな独創性ですからねえ。

・探偵日暮旅人の遺し物  山口幸三郎  メディアワークス文庫 20151024  630円
 既刊8冊に入れられなかった落穂拾いのような短編集とありますが、シリーズを読んだ人には興味深い小編集。

・土蛍  近藤史恵 猿若町捕物帳 傑作時代小説 光文社文庫 20160320  560円
 南町奉行所の定町廻りの同心。玉島千陰 の周りで起きる事件4篇。長屋の事件や芝居、吉原の女の人たちの話。文がうまい。語り手の八十吉が観察しながら書いているが、視点がおもしろい。読者の視点と同じ感じでついていける。

・奇跡の人  原田マハ  双葉文庫  20180114  722円
 ヘレンケラーの日本人版ですが、天才的な津軽三味線を弾く少女を加えて深みが出ています。泣けます。その真摯なひたむきさに、前近代的な日本に要綱帰りの独身女性の生き辛さがわかればわかるほど、泣けてきます。日本は果たして女性にとって自由な国になったのかしらと考えさせられます。

・うずら大名 畠中恵 集英社文庫 20171220  620円
 自称大名の有月、一緒に剣道場に通った泣き虫の吉之助、殺人事件の謎。
有月が、冷静で頭と腕がよく口が悪く意地悪、大事に飼っているうずらの佐久夜が「御吉兆!」と鳴くのがすばらしい。うずらは普段袋に入れられて有月の腰巾着におとなしく入っているのに、ことあらば、敵を突っついてやっつけるので、読んでいると非常にすっきりする。立派なうずらである。そのように、小さい鳥を根気良く躾けることのできる有月は、実は大層立派なのか?と疑いつつ、ひょうひょうとぼけボケしているような豪農家の吉哉こと名主の吉之助がまた、実は賢く勇気もあるのか、ないのか?などと人物が生き生きしていて、いつもながら楽しく一気読みをしてしまいました。身分、今で言えば格差社会での下層階級のものの鬱屈した気持ちとやりきれなさも良くわかり、身につまされます。

・青空の卵  坂本 司 創元推理文庫 20060224 743円
・子羊の巣  坂本 司 同      20060626 686円
・動物園の鳥  坂本 司  同    20061013 600円
 引きこもり探偵三部作
 しばらくぶりに再読
著者のデビュー作だから、想いの丈が込められていて人物造詣が丁寧。家族カウンセリングをしていると出会う親子の葛藤場面、親から子への愛ゆえの支配、子が親を思うあまりの様々な困難さが網羅されていて、理解しやすい。
鳥井真一のキャラが、僕、坂木司の状況説明ですごく純粋で格好良いものに見えてくる。
繊細な気持ちの動きを丁寧に追っているから、作者はこのあたりに近しい職業かな、と思う。男性視点から見ているようで、内容はACの女性視点に近い。読後もこの二人に幸多かれと願ってしまうような儚いもので満たされる。現在の作品も、心の痛みに敏感な作者の視点を感じるが、最近は吹っ切れてきたのかな?

・短劇  坂木 司  光文社文庫 20110220 619円
 怖い話が次々と、、始めはほのぼの、それからどんどんブラックに、、驚きの結末の続く26の短編集

・アンティーク弁天堂の内緒話  仲町 六絵 幻冬舎文庫 20180115 540円
 女子高校生の紫乃、ふることぎきという異能がある。弁天堂のアルバイト、店主は影洸浩介、弁天様の孫。この組み合わせでは、いずれからくさ図書館や、皆さんと出会うだろうな、と思いながらツクモガミと持ち主との謎を解いていく。

・おとなりの清明さん 陰陽師は左京区にいる 仲町六絵 メディアワークス文庫 570円
 からくさ図書館に出てくる小野篁、時子様が良く知っている、安倍清明がお隣さんだったら。なんていう夢のような状況下の高校生桃花さんのあやかしとの日常。
清明さんがちょっと現実離れしていて、ぴんと外れでおかしい。

・羊と鋼の森  宮下奈都  文春文庫 20180210 650円
 お仕事小説と成長物語の興味と、繊細で優しく、ある意味熱血なキャラクターに惹かれました。オリンピックの超一流アスリートたちにも共通する、一筋にひたむきに望み続ける姿が胸を打ちます。自分の全部をかけて毎日こつこつ努力できること、凡人にはその努力ができないのです。

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