長屋の暮らし、仕事、食事、人間模様2021年10月25日 14:22

夕ご飯

ごんげん長屋つれづれ帖 1 かみなりお勝  金子成人 
           双葉文庫 640円 2020-10-18
第1話 かみなりお勝
第2話 隠し金始末
第3話 むくどり
第4話 子は宝
 2 ゆく年に  金子成人 640円  2021年3月14日
第一話 天竺浪人
第2話 悋気の蟲
第3話 雪の首ふり坂
第4話 行く年に
 3  望郷の譜 金子成人  640円   2021年9月12日
第1話 一番かみなり
第2話 藍染川
第3話 老臣奔走す
第4話 望郷の譜
  長屋で暮らし、信頼されているお勝は 怒らせたら始末に負えないと言う評判だが、仕事に忠実に、3人の拾い子を育て、 38歳の立派なワーキングマザーである 。
馬喰町の 旅人宿玉木屋を営む 両親のもとで 兄と四人暮らしをしていた。亀井町の近藤道場で剣術を習い、その道場主の娘近藤沙月とは今も仲が良い。
16歳の時から牛込御門にある2400石取の旗本、建部左京亮の家に奉公 していた。もらい火により、18歳のとき両親と兄と家を一時になくした。19歳で当主のお手付きとなり、20歳で市之助を産んだ。その後正室に3,4ヶ月の我が子を取られ、追い出されてしまった。
寛政12年。建部家と縁を切り、生家 のあった馬喰町で知り合いの旅籠「亀屋」 の女将を頼り、そこに住み込み働いた。三月ほどして女将おすまの口利きで 清水緑風堂という江戸橋近くの菓子家に住み込み女中として雇われた。 そこで3年間、6歳と3歳のわがまま兄弟の面倒を見た。その主人から料理家北村を勧められ、 主人夫婦の子供7歳と3歳の惣吉とお甲の世話を頼まれて 働き、店の手伝い帳場までした。お勝の良い働きを主人が見込んでくれたが、他の女中の手前、身を引く形で辞め、次は質舗「岩木屋」に勤めて13年、今は番頭として立派に責任ある仕事をしている。
このような生い立ちで、長屋の暮らしと仕事絡みの難題を両立させながら生きる女性は、繊細ながらたくましく、江戸の庶民の暮らし向きを、一緒の長屋で見聞きするような気持ちにさせる。高名な脚本家の本なので、場面が映像のように浮かぶのでどんどん読み進めることができる。有名な時代劇の背景として描かれてきた貧しい長屋の暮らしに焦点があたり、今と変わらない悩みと助け合いの関係が肌寒い10月から半年あまりの四季折々をを描いている。地図も付いているので 移動手段は徒歩か 大八車 、舟しかない 当時の 人の動きの 細やかなことも 感じられる。
恋愛、子育て、日々のやりくり、仕事、それらは封建社会の男尊女卑の家長制度の中でありながら、今と変わらずまっすぐ理解できるということは、現代日本も江戸時代と変わらないどころか、一部はダメになっていると思ってびっくりする仕掛けである。

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